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atrie Waterblood

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リトリーブ

   新訳 ”魂の叫び”      2004年: "n"splugersHP掲載コラムから (旧HP名称 WATERBLOOD)

 

 人の多いフィールドではいろいろな道具、ルアー、釣果を目にします。

 釣果を目指してきた経験から手に入れられたであろう超高級なリールやロッド。

 はたまた子供に釣りをしたいとせがまれて、

 自分のタックルに使う資金を割り振ったお父さんによって購入されたタックルセット。

 両極端で言えばそんなところですが、

 単純に販売価格に見合った性能というのは確実に存在します。

 どこまでメカニカルブレーキを締めてもガタつくベイトリールや、

 カチカチとドラグ調整の幅はあるのにある程度ラインを引っ張っていると、

 「ジャァーーーーー!!!!」っとラインが一気に放出されてしまうスピニングリール。

 ロッドに関しては高級なものほど使用用途が限定されてくるので、

 安易に良し悪しは決められませんが、

 大抵の(初心者向)なんでもありのバーサタイルロッドは、

 4,5回の釣行でバット(根元付近)からたれていってしまうものです。

 中○製か・・・・と意味のない詮索もしてしまいたくなるほどです。


  長い前置きはこれぐらいにして、

 ここからは私が釣り人としてよちよち歩き(笑)をはじめたばかりの頃のお話です。

 ちょうど ミンク(先代)、レイズーム(先代)、その他諸々、

  今のコンセプトには到達していないプラグ製作を行っていた頃で、

 シーバス、オフショアプラグにも着手していました。

 そんな中、フルカスタムという、

 形、フォルムから全てリクエストできるという豪気な依頼で、

 西日本を中心に様々な営業活動をしていました。

 わずかながらの製作依頼の中、

 シーバス向けのリップレスミノーの製作依頼を受けて、

  今の遊動重心でもなく、特殊な固定ウェイトにこだわったプラグを完成させ、

 依頼者の方(以降 Oさん)から高い評価をもらった上に、

 桁外れな釣果を釣り新聞的なものに載せて頂いていました。
            (間違いなくOさんの腕によるところは今でも断言できます。)

 そんなこんなで何本かまた製作する事になり、

 依頼元が隣の県ということも相まって、

 北陸のシーバス釣行に同行させてもらえる事になったのです。

 琵琶湖では過去にも、とことんやりこんだナイトゲームです。


   当時は地元近郊、内陸まで入り込んでくるシーバスも狙っていたこともあり、

 自分用としていたプラグも持ち出して挑みましたが、

 潮の流れの強い漁港だったせいもあって

 止水域で火を吹いたミノーでも数投で全滅の気配w

 結局、限定されたポイントで2体目3体目となるリップレスミノーでなければ、

 使い物になりませんでした。

 何度か北陸のシーバス釣行に同行していくうちに、


 あるとき、漁港で”アジ”を狙う”アジング”をやることになり、

 Oさんの”師匠”が来る事を伝えられました。

 
  釣りを始めたころを思い起こしてみても、

 教えてくれた当時の釣友はあくまで釣友でしたし、

 その釣り友が卒業と称して釣り場からいなくなり、

 ひとり残った私は、ただ我流で突き進んでいくしかなく、

 それを続けているうちにブラックバスではランカーと呼べる魚を釣り、

 また釣友と呼べる経験者や初心者が増えていき、

 フローターからボートまでどんどんアクティビティ的な道具が増えていった状態でしたから、

 ”師匠”という言葉に身構えてしまったのもなんとなく感じて頂けるかと思います。

  プライドと呼ぶには恥ずかしいくらいの勘違い状態とも言えます。


 アジング釣行の当日。

 待ち合わせ場所の車の窓越し、

 初対面のあいさつだけで

 「”師匠”だ・・・・・!」 と何か風格みたいなものを感じてしまったのは後述します。


 2台の車で移動しつつ、「ここだめだね」 「あっちいってみよう」

 ポンポン移動していく車に乗せられているのは、もはやおのぼりさんの私です。(笑)


 いわれるがまま落ち着いたどこかの漁港のポイントで、

 お師匠様、Oさん、私、と3人並んで釣行開始です。

 何度も釣行に誘ってくれたOさんはアジングを「オフシーズンの修行」と言います。

 その意味を理解するのには、

 「アジのフライ?」などと馬鹿にしていた感じの食欲ではなく、

 はじめてとはいえ 「釣り負けたくねぇ!」という気持ちが大いに役に立ちました(笑)

 Oさんに準備をお願いされていた極細ラインは、

 準備するだけでは”飾り”という現実を痛感することになりましたから。

 Oさん 「群れてるっぽい・・・・」

 お師匠様が 「もう少しかな?はやいかw」(静かに楽しまれてます。)


 ジグヘッドを引っ張る極細ライン、

 リールハンドルを回しながら2人が口にしています。中層狙いです。

 私は普段バス用にと持っていた、

 少しホコリをかぶったスピニング(中級クラス)リールのハンドルを巻きながら、

 ロッドティップから出ている3lbラインに神経を集中させますが、

 なにかときどき”モヤモヤ”するだけで頭の上に”?”が連発w

 そうこうしているうちにOさんやお師匠様が魚を釣り出します。

 私は”モヤモヤ”ってするときの”モヤ”にあわせようとしてもうまくいかない感じです。

 気を使ってOさんが使っていたタックルを貸してくれました。

 日本で一番有名な高級スピニングリールがついています。

 おそらくロッドもそれに見合ったものでしょう。(確認する余裕もなかった心境w)

 ハンドルを回しただけで滑らかさがショッキングです。

 これはあくまで個人的なイメージによる表現ですが、

 さっき使っていた自分のタックルの”モヤモヤ”が、

 貸してもらったタックルだと、

      ”モモモモモモモモモモモモ!”

 「な!なにぃ!!!!」(←心の声w)

 Oさんいわく、その最初の”モ”にアワせれば釣れると・・・・


 とんでもない異世界に来たことを実感して(笑)やっと自分のいるポジションを理解し、

 どれだけ時間がすぎたでしょう・・・・。

 自分ひとりが釣れないままで、いやおうなく探究心が盛り上がってきた頃、

 お師匠様が、

 

 「結構タックルに依存する釣りだよこれ。」

 ほんとにやさしいお師匠様!

 そう言われても”モ”に合わせられない、

 

 ってゆーか最初の”モ”に合わせるタイミングがつかめない!

 ふといつのまにか自分の反対側に移動していたOさんはというと、

 「やったーーw」

 自分と交換した、間に合わせタックルでアジを釣って小躍りしてます。


 「依存してないよお師匠様~~~~~!!!!」(←心の声2w)


 「腕が違うwwwwwwwww」(←魂の叫び)


 


   昔話のひとつでしたが、

 本当に楽しくて、悔しくて(笑)勉強になったこの釣行だけは、

 いつになっても鮮明に、その時の夜の漁港の情景が思い浮かべられます。


 ここで、先ほど後述するといった訳は、

 実はOさんは当時も有名な某メーカーのテスターさんであった事。

 そのお師匠様はOさん以上の存在。

 様々な釣りに精通し、

 多くの著名人の方とも交流、指南をするほどの腕前。

 まだ未熟な私のプラグでも魚をあっさりあげてくれるほどの人格者。

  (オークション落札で商品を手渡ししたのはこれが最初でしたw)

 その情報をアジング釣行以前に聞いていたという経緯があったからです。


 釣行後に深夜の”すきや”でつまらない”プライドのようなもの”を投げ捨てて、

 自分の何が悪いのかお二人に聞いてみたところ、

 ”リーリングにムラがあるような感じがする”と一言。


     その一言がその後のブラックバス釣行でも、

        大きな違いを釣果として、重要だったことを教えてくれました。


 初めてリールというものを手にしてから、

 ハンドルを回してみてから、

 この長いコラムを読んでくれたみなさんはどれくらいの時間リーリングしているでしょうか?

 体調や、精神的な不調があるときも含めて、

 真の滑らかさを持ったリーリングの効果というのは、

 意識して体に染み付けておかないと、

 繊細にワームを扱う”フィネス”はもとより、”プラッギング”でも生かせないものです。

 釣行で「何か当たったような気がする」なんて、

    それだけが記憶に残っていたら、

        その”気がする”というのは間違いではなかったのかもしれません。

 
 今すぐ高級タックル揃えに釣具屋さんへ走れ!っていうコラムじゃありませんからねw

 自称中級者と感じる方が腕を磨くため、

 しばらく釣りに行けなかった方の復帰に向けたリハビリなど、

 ”見落とされがちな要素のひとつ”

 ネタ的要素も含んだ昔話でした。

このコラムは2004年前後に、実際の経験、出来事を当時のHPのコラムに掲載した内容となります。

今考えてみればこの出来事を発端として釣具へのこだわりやプラグ製作への姿勢が変わってきたと思います。

長くハンドメイドプラグの製作に携わっていると、

不思議な縁も生まれたりします。

実は様々な釣具メーカー内では次の釣具、素材、姿というものも試行錯誤されています。

そんなおもしろい話を聞けるだけでもありがたい環境に私はありますが、

C国製の廉価品に代表されるような、

利益至上主義に沿った”モノづくり”をやっているうちは、

大小関わらず、メーカーの中でくすぶっている大きな波、変革はきっと現れないでしょう。

それは至極当然と言えば当然で、しかたがない事なのですが、

もし近い将来、もっと魚を身近にかんじられるような道具がうまれてくる事があれば、

釣り、特にルアーフィッシングは今の10倍もおもしろく、深く、かけがえのない趣味となります。

未来の釣具の姿が見えるからって、

 ルアーがロボット化して勝手に魚を運んできたり、(依存と言う意味では餌も・・・・w)

        鮮明に水中を広範囲に見渡せるスーパー魚探など、

     と思ったひと。 気をつけたほうがいいですよ。それ的外れなんで・・・・w

ラインに結ばれて水中へとつながるルアーが、

何を教えてくれるか?

要するにその違いだけですからね。釣具としては。

早い段階で気づけている人は「ウッドハンドメイドプラグもいいもんだなぁ。」

と思って頂けているはずです。

​通帳にお金が溜まるよりも、自分の中に、誰にも奪えない経験が溜まる事のほうが重要ですからね。^^

 

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